1.インド・チェンナイ食道発声研修会の実施報告
平成26年2月、南インド・チェンナイに於いて食道発声
研修会を実施した。
・ 実施場所 南インド・チェンナイ市内
JIVANA JOIT施設 1階研修室
・ 開催期間 平成26年1月30日~2月11日
・ 研修目的 食道発声指導と指導員の養成
■ 参加者 :
AFLA 専務理事 松山 雅則
〃 監 事 齊藤康夫
〃 事 務 長 太田 時夫
指 導 員 矢代三江
チェンナイ医師 Dr.マニ他5名
セラピスト 7名
通 訳 9名
会 員 延べ 261名
同伴家族 延べ 151名
◆ チェンナイの状況
インドは現在北インドのニューデリーに喉摘者団体があるが、南インドのチェンナイ地区からは遠く、会員がニューデリーの研修に参加する事は不可能である。そのためDr.マニの強い要望で、3年前に南インドに喉摘者協会を設立した。
今回は地元指導員の育成を含め、更なる活発な発声指導活動の充実を目指し、二度目の支援となった。
広大な面積を持つインドで交通手段がほぼ車に頼るしかない為、Dr.マニの計らいで施設内に遠隔地の会員を宿泊させて研修を受けさせたため、数百キロも離れている会員も参加することが出来、毎日50名を超える参加者を得る事が出来た。
◆ 研修内容
初日は、研修会場の近くで行われた「がん予防の感謝祭」に参加300名ほどの出席者やがん医療に貢献された著名なDr.、関係者の前で歓迎を受けた。
※研修初日
参加者全員を個別に面接し、会員を
A ・・・全く声が出ない人 29名
AB・・・一音程度の人 12名
B・C・・2~3音出る人 12名
にクラス分けし、それぞれが担当した。
A―矢代・齊藤、AB―松山、C―太田
※6日間の研修の結果、左記の成果があった。
全く声が出なかった人 ・・・1名
単音発声者 ・・・6名
2~3音程度の発声者 ・・・20名
4音以上の発声者 ・・・ 14名
上級者 ・・・ 7名
研修最終日は、上級者7名の内、シャント発声者2名を除く5名を指導員クラスとして、お茶飲み法、長音発声、連続発声などの指導法を、会員を生徒にして実演してもらって、指導員候補者としてDr.マニに推薦した。
◆ 総括
短い期間に、これだけの成果が見られた背景には、日頃生活に追われ練習機会がなかった会員が限られたこの機会を生かすべく、泊まり込みで懸命に練習に明け暮れた結果だと思われる。
この研修を主催されたDr.マニが、開催中参加者の宿泊や食事の提供をするなどして、多くの遠距離参加者を集めてくれたことに感謝したいと思う。
発展途上国では先進国と違い、環境対策不十分による公害や教育不十分による煙草の害などにより喉頭がんは増加傾向にあり、食道がん、下咽頭がんなどによる食道再建者の数はまだそれほど多くはない。
貧しさと交通の不便さから発声教室で訓練を受けられる人は、首都の一部の喉摘者だけに限られている。
一般の人が高額のELを買えないことは仕方がないにしても、金持ちであっても外貨の関係で輸入出来ない国もある。 従って、多くのAFLA加盟国では、訓練を受けられるのは大都会の首都だけで首都以外での訓練は困難である。今後、首都以外の地区でも指導員を養成し、教室を開設して訓練環境を作ることが望まれる。
尚、AFLA未加盟国の喉摘者の実態が懸念されるので機会を見つけ実態調査をして、訓練の機会がない人達の救済も検討したいところである。
2、第24回AFLA総会
開催期間:平成26年4月10日 AFLA 運営委員会
11日 AFLA 総 会
参加国:
台湾(Dr.朱本元)
タイ(Dr.チーラスーク、ネトラ聴覚士)
北インド(Dr.アブロール)
南インド(Dr.マニ)
フィリピン(エメル・ロハス会長夫妻)
日本(松山雅則、秋元洋一、齊藤康夫、太田時夫)
実施場所:マニラ市内、ソフィテルホテル内会議室
式 典
秋元洋一氏が司会進行を担当し、式典開始
①先ず出席者全員が自己紹介で国名と名前を告げた。
②フィリピンのDr.ボンゴシアが歓迎の挨拶をされた。
③フィリピンのロハス会長が歓迎挨拶をされた。
④松山雅則AFLA会長代行が挨拶をした。
⑤ 重原賞の表彰が行われた。
「団体賞」は南インド喉摘者協会:2度にわたる研修を企画し、南インド地区に喉摘者協会を立ち上げた功績により南インド・チェンナイが受賞した。
「個人賞」は安藤増雄AFLA前会長が長年の功績により受賞された。
議 題
1. 役員改選 安藤会長辞任を受けて、後任人事が検討され、松山雅則銀鈴会会長がAFLA会長に就任した。太田時夫銀鈴会専務理事が専務理事に選任された。またフィリピンのDr.ベルモンテが自ら常任委員を退任し、後輩の医師Dr.ウィリアム・リムが常任委員を引き継いだ。また、常任委員のメンバーを各協会につき医者と候摘者2人に決まった。
2.AFLA総会開催年度の変更AFLAの活動資金が切迫してきたため、今後AFLA総会は3年に1度とし、総会開催時には運営委員会は行わず、総会のみとする。また総会に合わせて短期研修会を開催し、その年は他の研修会を行わない。総会の無い年の研修会は原則、年1回とする。
3.2014年度・2015年度・2016年度の事業計画と予算について報告
4. 次回研修国及び総会開催国について、次回研修候補国は、北インドニューデリーから強い要請があった。二番目の候補国は、バングラデシュとなった。また、次回総会開催国はタイのバンコクにて2017年に決まった。
5.各国の喉摘者の現状と、支援活動の報告
各国委員より、自国の喉摘者の現状、支援活動の様子などを、DVD等を用いて順次説明報告があった。
6. 今後のAFLA活動について
AFLAの活動資金内部留保が減少する中、以前の様な企業献金も難しくなっている為、今後の研修は、年に1度とし、総会はこれまでの2年に1度から3年に1度に変更し、総会実施年は、総会開催国での研修会を行いその他の研修は行わない事で、各国委員の理解を得た。
3、フィリピン食道発声研修会
開催期間:平成26年4月14日~4月25日
実施場所:マニラ市内 メディカルセンター会議室
参 加 者:派遣講師 松山雅則 太田時夫 秋元洋一 齊藤康夫
通訳 3名 参加会員 14名 同伴家族1名
◆研修内容
14名の参加会員を、初心、初級クラス6名と上級クラス8名に分けて研修し初心・初級クラスは全員原音が出せるようになった。上級者は日常会話が出来る程に上達していたので、指導員候補として、お茶飲み法などからの原音獲得指導から腹式呼吸による吸引法等の指導について勉強してもらった。現指導員2名の他新たに3名が指導員候補者としてロハス会長に推薦された。
◆ 総括 フィリピンの状況
指導員を養成する事には成果が上げられたが、マニラ市内はともかく、交通の便、交通費その他の経費面など、数々の島からなるフィリピンの国情から喉摘者をどのようにマニラ教室に参加させるかが今後の課題となる。