平成29年6月17日(土)、東京都新宿区の東医健保会館大ホールに於いて、定期総会に続いて「声の祭典」が白川理事の司会で開催されました。
今年もコンテスト出場者はじめ関係者および会員さんやご家族の方々が多数来場されました。
出場者は3分間の持ち時間内の発表で、食道発声部門では声友クラブから3名、上級クラスから8名、中級クラスから3名、初級クラスから1名、更に初心クラスからも1名の計16名が出場しました。EL部門では3名の出場があり、今回の全出場者19名のうち女性は4名でした。
デモンストレーショとして宮崎義将さんのシャント発声が披露されました。
審査の点数集計を待つ合間に、
アトラクションとしてバイオリン奏者加藤玲名さんの演奏があり、その素晴らしい音色に息遣いが感ぜられまた。
◇競技結果
食道発声の部
第1位最優秀賞 川崎 光夫 (声友クラブ 単純)
第2位優秀賞 大野 晃一 (声友クラブ 空腸)
第3位優秀賞 斉藤 陽一 (上級 皮膚)
第4位佳良賞 吉田 久乃 (上級 単純)
第5位佳良賞 犬山 正人 (声友クラブ 胃吊)
第6位佳良賞 勝木 英一 (初心 単純)
第7位佳良賞 山田 善宣 (上級 単純)
ELの部
第1位優秀賞 鈴木 正子
小林先生の講評
ELは、今回は出場者が3名でしたので表彰は1名ということにしました、全体的にみますと3名の方全員が非常に明瞭なスピーチだったと思います。明瞭であった理由は2つあり、1つはELの当て方が正確であったこと、正しく当てないとビービーと雑音がして聞き苦しくなりますがそういう方は1人もおられなかったことです。もう1つの明瞭な理由はスイッチの切り方で、句読点もしくは単語の途中で切る時などにスイッチのオンオフの操作がどなたも見事であったとことです。文章の途中で言葉が途切れてしまったり文章が終わったのにビービー音が鳴っているというようなことがなく、明瞭なスピーチが聞けました。
鈴木さんが1位になられたのは先ずELの切り方当て方がお上手だったことです。特徴は2つあります。例えば子音、「ぱぴぷぺぽの「ぷ」」、とか「たちつてとの「た」」とか「さしすせその「し」とか「す」」とかは電気喉頭の場合は出すのが非常に難しいとされている音ですが、それらが非常に明瞭で、おっしゃっていることが100%正確に聞こえました。子音が非常に綺麗だった理由としては口をしっかり開いていらしたということと、ゆっくりお話しされた、ということです。ゆっくり、はっきり話すということはELでの会話のポイントだということを、鈴木さんが手本を見せてくださったのではないかと思いました。
食道発声では、皆さん練習を充分されていらしたようで言い淀みがありませんでした。話し始めは緊張されて言葉が途切れてしまった方も話しているうちに言葉も音の数も増えてきて、後悔なさるような方は1人もいらっしゃらなかったのではないかと思います。
今回の出場者の中で、空気を取り入れる時に取り入れ音(クランキングノイズ)が聞こえた方が6名おられました。これは雑音になってしまうので話の内容を聞くのに邪魔になります。消すようにやわらかく空気を取り入れるようにすると良いと思いました。また空気を入れるときに2~3回で空気を入れる方が3名見受けられましたが、これは効率の良い取り入れ方ではないので、空気を取り入れる時は1回で入れる練習をされた方が良いと思います。
今後コンテストに出る方が気をつけた方が良いと思われることは話す態度ですが、覚えてきたことをしゃべるのに一生懸命すぎた方がおられました。聴衆に語り掛けるというような感じの話をされた方が5名おられ、とても上手だなと感じました。スピーチコンテストでこのような話し方に改良すると人の心を打つようになると思いますので、その辺りを工夫してください。
上位の3位の斉藤陽一さん「災い転じて福と為す」というお話をされました。斉藤さんの特徴は非常に明瞭度のある話し方をなさっていました。明瞭に聞こえる理由は長く続けて話していないこと、食道発声では15~17音位続けて話される方もおられますが、6~7音で切ることが多く、切り方も上手で聞いている人が分かりやすく自然に聞こえたのだと思います。それが見事でした。
2位の大野晃一さん、15音位を続けて話すことが出来ていて食道発声の上達したレベルであると感じました、もう一点はイントネーションがシャントをしている?と思うくらい見事についていて、聞く方をスーと引き込む話し方をされていました。
1位の川崎光夫さんですが、今回の出場者の中で2番目に高齢であるにもかかわらず1位になられたことは大きな希望であると感じました。空気の取り入れ方が自然で、いつ空気を入れたのか分からない、まるで喉頭があるかのように取り入れていた点が素晴らしかったです。子音が明瞭に出ていてこれも口をしっかり開けて話されていたせいだと思いました。イントネーションも素晴らしく、強調すべきところを少し強く言ったりする技もお持ちのようでお見事でした。
今回も皆様の努力の成果を楽しく感心して聞かせていただきまして有難うございました。
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