平成28年度AFLA活動報告


 

 

  ネパール食道発声研修会の実施報告


開催期間 平成28年8月26日~9月5日まで
実施場所 ネパール・カトマンズ市内 
会  場 Tribuvan University Teaching Hospital
研修目的 食道発声指導と指導員の養成

 

 

参加者

 派遣講師 AFLA 会 長 松山  雅則
           専 務 太田 時夫
           監 事 齊藤 康夫
           指導員 中村マリ子
 医 師  Dr.ラケシ・プラサド・シルバスタ他
 喉摘会  ラジェンドラ・プラサド・プラダン会長
        ネパール喉摘会指導員 3名
      通 訳  4名
会員延べ   111名 
同伴家族延べ101名


◆ネパールの状況
ネパールは、中流家庭の月収が平均3~5万円、農民は年収が3~4万円とかなり貧しく、研修会の呼びかけをしても参加者が田舎からカトマンズ市内まで出てくる交通費も研修期間の宿泊代や食事代などの滞在費も都合出来ない、と言うことでAFLAがこれらを負担して呼び寄せての研修会となった。


◆研修内容
 研修会初日は、参加者を個別に面接し発声力をチェックして初級13名、中級6名、上級5名に分ける。
 初級・・・全く声が出ない4名、原音が出る6名、3~5音が出る3名 (齊藤、中村 担当)
 中級・・・2~3音レベル2名、4音が発声出来る4名(太田担当)
 上級・・・会話は可能であるが殆どが呑み込み法で発声している。(松山担当)


4日間の研修実施で初級クラスは4名を中級に昇級させ、全員が1~5音を発声出来るようになった。      
中級クラスは腹式呼吸のマスターと4~5音の発声が出来るようになり、上級クラスでは、発表会で長いスピーチが出来るようになっていた。


◆ネパールは、北海道の2倍弱程の面積に2,700万人が住んでいる。
交通は、鉄道はインドとの国境近くに僅か30キロにも満たない小さな鉄道があるのみで、国民の足は車とバイクである。
カトマンズ市内のメイン道路の通勤ラッシュはもの凄く、やたら多い車とそれに勝るバイクが縦横無尽に走っていて車線変更、割り込みは当たり前で右左折禁止も無く大きな交差点にも信号が無く、驚くのはそんな道路を歩行者がどこからでも横断してくるので、車に乗っているだけで気分が悪くなってしまった。この状態では日本の運転免許証では走れそうもない。
街はレンガを積み立てた建築が主で、昨年の大地震で崩れてしまった建物があちこちに見られた。
世界遺産などの建造物も損傷がひどく修復作業が行われていたが復元には時間がかかりそうであった。
気温は日本とさほど変わらないが、空気が乾燥していて涼しく感じ、特に朝晩は冷え込むのでホテルのエアコンはずっとOFFにしていた。
水はミネラルウォーターがあり、スーパーでも買えるので不自由はなかったが、生水で洗う生野菜も怖くて手が出ず野菜不足になった。
     
                                                                                                                                        〈太田時夫 記〉

 

 会員の皆さま、賛助会員の皆さま、平素より公益社団法人銀鈴会の活動にご協力を賜り、誠にありがとうございます。長年にわたってご尽力のおかげであり、心より感謝申し上げます。

 今年度は、特に大規模な記念イベントの開催は予定しておりませんが、70年を振り返る大切な記録として「銀鈴会70周年記念誌」の刊行を予定しており、只今鋭意編集を進めております。7,8月の刊行を予定しています。

  70年前、銀鈴会は発声機能を失った方々の社会復帰と生活向上を支援するために東京大学病院医学博士であった高藤次夫(たかふじつぎお)先生が銀鈴会の初代会長となる重原勇治(しげはらゆうじ)氏を手術し、1954年(昭和29年)重原氏と共に喉摘者団体を、お寿司屋さんの2階に10人ほど集めて立ち上げたものです。それ以来、私たちの先輩方は多くの困難を乗り越えながら、前進してまいりました。先輩方の苦労と努力、そして会員の皆様の熱心な活動により、今日の銀鈴会があります。

この70年の歴史を振り返ると、多くの感動的な出来事や素晴らしい成果が思い出されます。発声教室の運営、各種イベントやコンテストの開催、会報「銀鈴」の発行など、会員、賛助会員の皆さまのご協力なしには成し得なかったことばかりです。

 さて、2025年度の主要な活動についてですが、今年も例年通り、6月の定期総会と声の祭典(日喉連東日本ブロック共催で今年はスピーチ大会です)を開催します。スピーチ大会は東日本ブロック11都県から予選で選ばれた代表が出場します。選手たちが日々の努力の成果を発表し、お互いに刺激的な貴重な機会となりますので、ぜひたくさんの方にご参加、ご参集をお願いしたいと思います。また、9月から10月にかけては日喉連東日本ブロック発声訓練士養成事業研修会を予定しています。これは訓練士の日々の勉強と交流を兼ねたもので、本年は銀鈴会の担当で東京で行われます。そして来年2月にはスピーチ発表会と家族座談会を開催します。

 銀鈴会の主たる目的である、日々の発声教室の充実にも引き続き頑張ってまいります。 特に、教室を卒業された方々には「声友クラブ」への参加をお願いしておりますが、参加が難しい方のために、より気軽に交流できるサロン的な場の開催を検討しております。OGOBを中心とした交流会のような場を考えているほか、長期的に教室を離れていた会員の方が教室に復帰しやすいような環境づくりにも取り組んでまいります。もちろん「声」のリハビリとしての役割も担えるような場所にしたいと考えております。さらに、本年は東日本ブロックの各団体との訓練士や会員の交流会なども積極的に進めたいと考えております。

 一方、コロナ感染症の影響が徐々に収まりつつあるとはいえ、会員数の減少という課題には引き続き検討する必要はあります。会員の高齢化、会員の減少傾向、手術の向上化による再建者の増加、シャント術の向上によるシャント発声者の増加も考えられます。こうした時期だからこそ先輩方の「声を失った喉摘者が声を取り戻し、気後れすることなく社会復帰をしてほしい」と願った熱い熱い思いが蘇ります。これまで数万に上る喉摘者が銀鈴会のような団体に恩恵を受けてきたはずです。同じ病気に同じ悩みを経験してきた訓練士による発声訓練だからこそ共感し、信頼され、成果を上げてくることができたのです。そのため、会費の納入をはじめ、賛助会員の皆さまのご支援がますます重要となってきております。会員の皆さま、賛助会員の皆さまには特段のご負担をおかけいたしますが、なお一層のご支援、ご協力を賜りますよう伏してお願い申し上げます。

そして、まだまだ低い銀鈴会の認知度を高めるために、新たな会員の入会を促すよう、病院をはじめとする医療機関や行政への周知を積極的に取り組むなど、広報活動を積極的に進めてまいります。社会復帰しやすい環境づくりのためにも、医療・行政との連携が重要であると考えております。さらに新しい機器の研究協力や導入、新しい仲間やほかの障害者団体との連携、行政機関や医療関係者との支援体制を強めてまいります。

 2025年の干支は乙巳(きのとみ)。「乙(草木がしなやかに成長していく意味)」と「巳(脱皮を繰り返す不老不死の象徴)」から「再生や変化を繰り返しつつ、伸びやかに発展していく」年になるとも言われています。こうした思いを胸に本年度も銀鈴会は「声を失った仲間の支えとなる」公益団体という創立当初からの理念を守りながら、オンライン訓練の定例化やホームページやSNSなどを活用するなど新しい時代に適応した活動を進めてまいります。

 

本年も会員の皆さま方の変わらぬご支援とご協力を賜りながら、銀鈴会の次の10年に向かって共に頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。