喉頭全摘術後の身体の変化は、一口でいえば、「気道と食道の完全分離」ということができる。いうまでもなく、この際、発声器官としての喉頭が無くなる。
その結果
利点は
1.食事にむせることがなくなる
2.食事がのどに詰まって(正月の餅など!)窒息する怖れがなくなる
3.口の中の汚染が気道⇒肺に入って肺炎を起こすという怖れがなくなる
これらの詳細について術前に十分な説明を受けておくことが必要。
1.超高齢社会の実現と喉頭ガン
高齢になってからの発病が多い
⇒無喉頭音声の獲得が必ずしも容易でない
生活習慣病の併存が多い
重複ガンの可能性が低くない
2.日本と欧米の傾向の違い
日本では、患者の互助組織が強固、しかも伝統的に食道発声重視
⇒言語聴覚士や医師の介入が必ずしも一般的とはいえない
⇒ 言語聴覚士、医師内で、この問題に興味を持つ人が少ない
⇒食道発声以外の方式についての情報が得にくい
アジアでは、まだ全摘が主流⇒食道発声、ELが主体
欧米では、シャントが多く、ELがこれに次ぐ
3.治療方針の決定は、医療施設、主治医の判断に任される(前述)
4.術前の説明と同意(インフォームド・コンセント)は十分だったか?
5.術後、主治医とのコミュニケーションは十分か?
発声については