喉頭摘出手術を受けると声を出す声帯がなく、また呼吸は気管孔を通して行なわれるために、声を出すとき呼気流を使うことができません。しかし、発音するときに使う舌や唇などには問題がないことが多いので何らかの方法で声(原音)が得られれば話すことが可能です。喉摘者が声を出す方法としては食道発声、人工喉頭による発声、シャント発声などがあります。
人工喉頭による発声は器具で音を出し、その音を使って話す方法です。人工喉頭による発声では電気式人工喉頭(以下EL)がよく使われています。
長 所 |
短 所 | |
食道発声 | 1、追加手術、追加器具が不要(安価) |
1、習得するのに時間がかかる |
2、満足感が大きい傾向がある | 2、音量が小さい | |
3、とっさの発声が可能(風呂場などでも) | 3、声が続かない(息継ぎが多い) | |
4、比較的自然な声が得られる | 4、高齢になると発声しにくくなる例がある | |
EL発声 | 1、習得が比較的容易(社会復帰に有利) | 1、器具の入手・携帯が必要(価格) |
2、かなりの音量が得られる | 2、平板で、機械の音としか思えない | |
3、続けて長く話せる | 3、片手が塞がる | |
4、通常、高齢者でも扱える | 4、機会音なので人の声とは隔たりがある | |
シャント発声 | 1、術前と同じ感じで話せる(呼気流使用) | 1、器具の入手・装用が必要 |
2、習得が比較的容易(社会復帰に有利) | 2、維持が厄介(掃除、買換え→コスト) | |
3、ある程度の音量が得られる | 3、通常片手が塞がる | |
4、声が長く続けられる | 4、咽頭側から気道への漏れが起こりうる |
(上記は一般論で例外はある)